導入事例 RPAツール(UiPath) カルビー株式会社様

社内にRPAを導入するための検証プロジェクトをサン・プラニング・システムズとともにスタート。現在はさまざまな部門で200以上のロボットが稼働し、業務の効率化に貢献しています。

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スナック菓子において国内最大級のメーカーとして知られるカルビー株式会社は、2017年にRPAの検証プロジェクトをサン・プラニング・システムズとともにスタート。同年末にはUiPathで製作したRPAを社内に導入しました。RPAの共同検証プロジェクトから製作、運用・保守に至るまでサン・プラニング・システムズに依頼した背景と効果について、カルビー株式会社 情報システム本部 青木氏 稲手氏、経理部 和田氏に詳しく伺いました。


カルビー株式会社様

カルビー株式会社様

  • 本社所在地: 東京都千代田区丸の内1-8-3
  •        丸の内トラストタワー本館22階
  • 設立: 1949年4月30日
  • 代表者: 代表取締役社長兼CEO 伊藤 秀二
  • 資本金: 12,046百万円
  • 従業員数: (連結)4,053人
  • 事業内容: 菓子・食品の製造・販売

1.カルビー株式会社の概要

– カルビーについてご紹介いただけますか。

創立以来、「私たちは、自然の恵みを大切に活かし、おいしさと楽しさを創造して、人々の健やかなくらしに貢献します。」という企業理念のもと、品質にこだわりを持って、ポテトチップスを代表とするじゃがいもを原材料とするさまざまな商品をはじめ、「フルグラ」といったシリアル製品など新たなマーケットを創造するユニークな商品・サービスを提供し続けてきました。

2030年に目指す姿として長期ビジョンを掲げ、海外事業における成長の加速や新たな食領域への事業拡張に挑戦しています。ビジョン実現に向けた5ヵ年の中期経営計画(2020年3月期~2024年3月期)の達成に向け、3つの事業戦略(国内既存事業、海外事業、新規事業)と、それを支える経営基盤や社会共創を重点課題として取り組みを進めています。

自然素材の味わいと栄養を活かした、新鮮なおいしさが魅力の商品群。

自然素材の味わいと栄養を活かした、新鮮なおいしさが魅力の商品群。

2.RPAは年間1万時間以上稼働中

– 今回、サン・プラニング・システムズには何を依頼しましたか。

2017年12月、サン・プラニング・システムズの支援のもと、UiPathを用いてRPAを導入しました。RPAの製作はサン・プラニング・システムズにお任せし、情報システム部門はRPAの企画と管理に注力しています。

– RPAの導入状況を教えてください。

現在までRPAによる業務数は200以上。稼働時間は年間1万時間を超え、1万6000時間に迫るまでになりました。

 

RPAの導入状況

 

3.RPAが効率化をもたらした業務

– 具体的なRPAによる業務をいくつかご紹介いただけますか。

以下、RPAを導入した3部門の事例をご紹介させていただきます。

<生産管理部門に導入したRPA>

本格的な導入前、試作品としてつくったのが生産管理部門のRPAです。当社は新商品を開発する際、業務システムに原材料や製造工場などの情報を収集して原価の積み上げを行っていますが、単純作業なので人の手を介さずRPAで処理できればと思っていました。

ログイン、処理ボタンを押す、Excelを開いて不要な行の削除や保存を行うなど、画面が勝手に動いていく様子を動画に記録し関係者に見せたところ、非常に高い評価をいただきました。これにより、他部門へのRPA導入もスムーズに行うことができました。

<営業部門に導入したRPA>

本格導入直後は、営業部門の業務をRPAで自動化しました。営業部門では得意先のPOSデータをWebサイトからダウンロードするという単純作業があるのですが、得意先の数だけこの作業が必要になり、その数は60サイトを超えます。しかも、Webサイトの構成や更新頻度は得意先ごとに異なるため、単純作業とはいえ、時間もリソースもかかる作業でした。そこで、得意先ごとにロボットを用意しダウンロード処理を自動化しました。

<経理部門で導入したRPA>

2020年に導入したRPAの大半は経理部門向けでした。代表的なRPAは、銀行の入出金データから伝票をつくる作業です。当社は多くの取引先があるため、入出金の頻度が高く、その数は平均1,000件/月、1日あたり30~40件におよびます。従来は、銀行の入出金内容・金額をひとつひとつ確認して伝票を手作業で作成しており、膨大な工数が掛かっていました。そこで、入出金データをダウンロードして会計仕訳データに変換するExcelを開発し、ダウンロードから伝票登録までの一連の処理をRPAで自動化しました。

ほか、経理部門ではマスタ登録作業もRPAで自動化しました。今まで新しい取引先のマスタ登録は、Excel申請書に必要な情報を入力して上席者が紙で承認し、紙またはFAXで経理部門に送付して基幹システムに手作業で登録するという流れで行っていました。そこで、まずは紙ではなくシステム画面に直接入力・オンライン承認する形にしてペーパーレス化をはかりました。そして、そのデータをピックアップして基幹システムに登録するまでの処理をRPAで自動化しました。

 

カルビー株式会社 稲手 信吾 氏

カルビー株式会社
情報システム本部 情報システム部
システム企画課
稲手 信吾 氏

4.RPAがもたらした効果

– RPA導入による効果はございましたか。

RPAを導入した多くの部門で業務の効率化を図ることができました。分かりやすく解説するため、先ほどの営業部門および経理部門の効果をお話しさせていただきます。

<営業部門の効果>

以前は人手による作業だったため、POSデータは一週間おきのダウンロードが精一杯でした。RPA導入後は、ロボットが自動的に毎日行ってくれるので、ほぼリアルタイムにPOS動向を把握できるようになりました。

リアルタイムなPOS動向が得られれば、分析を行うことで得意先に対する的確な提案活動につなげられます。実際、現在の営業部門は提案活動の機運が大きく高まってきていると感じます。

<経理の効果>

前年に比べて1日あたりの業務時間は約1割、残業時間は約4割、それぞれ減っており、その大部分はRPA化によるものと分析しています。また、業務時間の内訳も大きく変わりました。処理・作業から解放されたことによって、勉強会やプロジェクト活動など、これまで時間が割けなかった将来への投資に時間を使うことができるようになりました。

業務の前提も変わりました。今までは人が行うことを前提に業務が組み立てられていましたが、RPAのロボットが業務を行う前提になれば、業務をRPAの方に寄せていく形になります。現段階のRPAは単純処理のみですが、逆に業務をシンプルにして合わせようという発想になりました。RPA自体の効果に期待していましたが、RPA化を契機とした業務改革も実現し、期待以上の効果が発揮されて良かったと思っています。

 

5.業務システムを熟知しているサン・プラニング・システムズとRPAを検証

– RPA導入の背景をお聞かせいただけますか。

2016年あたりからRPAによる業務の自動化や効率化の足音が聞こえるようになり、「つくる」「守る」「使う」にフォーカスし、当社の業務に役立つツールを常にリサーチし取り入れる活動をミッションとしている情報システム部門としても、少しずつRPAの情報収集をしてきました。2017年、本格的な導入を前提にRPAの知見を蓄積したいと考え、声をかけさせていただいたのがサン・プラニング・システムズでした。

– なぜサン・プラニング・システムズだったのでしょうか。

SAPの運用・保守など、以前からサン・プラニング・システムズには大変お世話になっていました。当社の業務システムはもちろん、業務自体も熟知していただいており、業務を自動化し効率化を図る目的のRPAならサン・プラニング・システムズが適していると思い、声をかけさせていただきました。

サン・プラニング・システムズもRPAの研究に取り組んでいるというタイミングでしたので、一緒に検証プロジェクトのような形で始めることができました。

– 検証プロジェクトはどのようにして進めていったのでしょうか。

当時は具体的にこの業務にRPAを導入したいということはなかったため、まずはRPAツールの検証から始めました。最終的には3つのRPAツールをリストアップし、サン・プラニング・システムズに作っていただいた詳細な比較表や試作品をもとに検証を行いました。

 

6.RPAツールに求めた要件

– 御社がRPAツールに求めた要件をお聞かせいただけますか。

以下の2つを要件にRPAツールを検証しました。

<業務システムとの親和性>

SAPをはじめ、当社の業務システムの中で問題なく使えるかどうかがポイントでした。「SAPでは動くけど他のシステムでは動作しない」では困ります。仕様として対応するシステムが豊富であることはもちろん、実際にオブジェクトとして認識し安定的に動くことを重要視しました。

<スモールスタートが可能>

初めての導入になりますから、一部の小さな業務から試験的に自動化を行うことになります。そうなると、サーバーベースではなく、端末のパソコンベースでも稼働できるのがベストだと考えました。そのあとで徐々にサーバーへ移行し、本格稼働できるRPAツールを求めました。

– 要件に合致したのがUiPathだったのでしょうか。

その通りです。UiPathは対応する業務システムが豊富で、試作品でも安定して動作していました。また、UiPathはスモールスタートしつつ統合管理もできるということで、小さく始めてもサーバーに移管することが容易です。そこでUiPathを当社のRPAツールとして選定しました。

 

カルビー株式会社 青木 健太 氏

カルビー株式会社
情報システム本部 情報システム部
システム企画課
青木 健太 氏

7.サン・プラニング・システムズが製作するRPAは堅牢性が高い

– RPAの内製を行わない理由をお聞かせいただけますか。

当初は内製できる体制を構築すべく、試行錯誤していた時期がありました。サン・プラニング・システムズの講師を招いて研修をしたこともあります。しかし、UiPathに限らずですが、簡単に「エンドユーザーでもつくれる」とはいきません。やはり、それなりにシステムをつくるイメージで高い専門性を感じます。ようやく完成しても、結構な頻度で作り直しやメンテナンスが発生していました。これにより、2018年の夏頃には内製を諦め、サン・プラニング・システムズに製作をすべてお任せすることにしました。

ただし、内製しないことで以下2つのメリットを得ることができました。

<RPAを一元管理できる>

さまざまな部門が勝手にロボットをつくることはなく、RPAを導入したい部門から情報システム部門が依頼を受け、情報システム部門からサン・プラニング・システムズにRPAの製作を依頼するフローですから、我々でRPAを一元管理することができます。既存システム側が変更されれば、RPAも影響を受ける可能性がありますが、我々が一元管理していれば保守の面で右往左往することはありません。我々の目が行き届いていれば、野良ロボットが発生することもありません。

さらに、1年に1回はRPAの業務の見直しを実施しています。導入して1年以上経過したRPAについては、担当部門に来年の利用有無を確認しています。「利用しない」となればそのRPAは廃止し、無駄なリソースを省くようにしています。

<プロフェッショナルがつくる堅牢なRPA>

RPAもプログラム的な要素が多分にあって、つくり手によってエラーが発生しやすいRPAと、少々の環境変化でもエラーが起きにくいRPAがあります。サン・プラニング・システムズが製作するRPAは後者。当社の業務システムに精通したエンジニアの方に携わっていただいており、将来的な変更が少ない堅牢なRPAを導入することができています。

 

8.サン・プラニング・システムズの体制に満足

– サン・プラニング・システムズに対する評価をお聞かせいただけますか。

RPAの導入、製作、運用・保守などにおいて、サン・プラニング・システムズの体制には非常に満足しています。とくに以下の部分において高く評価しています。

<リカバリー体制を構築>

RPA自体、極力エラーが起きにくい仕組みに日々改善していただいていますが、RPAに限らず100%問題なく稼働するシステムを製作するのは不可能です。大事なのはRPAが稼働しない状況に陥っても、リカバリーできる体制を整えておくこと。具体的なリカバリーについては、サン・プラニング・システムズのアドバイスのもと導入部門にあったリカバリー体制を構築し、業務に支障をきたす問題に発展しないような体制ができています。もちろん、サン・プラニング・システムズにもエラーのアラートが届く仕組みになっていますので、リカバリー時間が短くタイムリーな改修作業も可能です。

<最適な解決策を提案する力>

エンドユーザー側から改善してほしい点をしっかりヒアリングし、RPAがいいのか、それとも業務システムで行うのがいいのか、さまざまな角度から検証して最適な解決策を提案していただけるのがサン・プラニング・システムズだと思っています。我々としては、安心してお任せできるベンダーという共通認識があります。

<ランニングコストの軽減に貢献>

RPAのロボットによる業務数が増えてくれば、その分だけ維持管理のランニングコストがかかるところですが、サン・プラニング・システムズは過剰なサービスを極力ひかえ、全体を俯瞰し最適化した維持管理に努めていただいています。このおかげで、ランニングコストは低く抑えることができています。

 

9.全国の営業・物流拠点、工場にも展開予定

– 今後、どのようなRPAの展開を考えていますか。

今までは我々の目が届く本社部門への展開がメインでしたが、全国に目を向ければ営業拠点や物流拠点、工場などがあります。ぜひ、そういったところへのRPA導入も検討していきたいと考えています。

– サン・プラニング・システムズに対する今後の期待をお願いします。

弊社では、活躍した部門を表彰する「カルビーアワード」という制度があり、2019年度、RPA関連の取り組みが受賞しています。これもサン・プラニング・システムズの手厚いサポートのおかげだと思っています。 データの有効活用の推進など、まだまだ課題は山積みですので、今後もサン・プラニング・システムズのサポートに期待しています。引き続きよろしくお願いします。

お忙しい中、貴重なお話をお聞かせいただきありがとうございました。

 

株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス様 集合写真

カルビー株式会社(右2名)
情報システム本部 情報システム部 システム企画課
左より 稲手 信吾氏 青木 健太氏

株式会社サン・プラニング・システムズ(左3名)
クライアントサポート1部
左より 橋詰 航介、柴田 智之、鷹栖 太郎


  • 取材日時 2021年2月
  • カルビー様のサイト(https://www.calbee.co.jp/
  • 記載の担当部署は、取材時の組織名です。